医療用手袋
手袋が『まもる』

医療従事者をまもる
- 血液や体液、感染性物質による接触や飛沫からまもる
- 注射針やメスなどを取り扱う際に、針刺し事故による汚染からまもる
患者や物品をまもる
- 医療従事者の手指を介しての交差感染からまもる
- 医療従事者の手指の付着菌で医療機器など非無菌状態を汚染することを防ぐために、無菌領域に触れる際には滅菌手袋を着用しまもる
代表的な材質別医療用手袋
天然ゴム手袋 | 合成ゴム手袋 | プラスチック手袋 | |
---|---|---|---|
装着性 | ◎ | 〇 | △ |
耐久性 | 〇 | ◎ | △ |
経済性 | 〇 | △ | ◎ |
- *天然ゴム手袋はNR・LATEXなどと呼ばれ、柔らかな触感と高い弾力性によりフィット感に優れておりますが、素材に含まれたタンパク質に起因するラテックスアレルギーをもつ医療従事者が近年増加しております。
- *合成ゴム手袋はNBR・CR・IRなどからなり、天然ゴム手袋には劣りますが高いフィット感をもち、ラテックスアレルギーを心配することなくご使用頂けますがややコスト高となる傾向があります。
- *プラスチック手袋は「PVC手袋」や「プラテ」などと呼ばれ、フィット感は天然ゴム製手袋や合成ゴム手袋よりも劣りますが、アレルギー事例は少なく、高いフィット感が不要な現場ではもっとも多く使用されております。
手袋の規格基準
使い捨て手術用ゴム手袋(JIS T 9107 : 2005参照)
適用範囲
医科及び歯科で手術のときに、患者及び使用者を交差感染からまもるために使用する滅菌済みの使い捨て形式の手術用ゴム手袋。
1種 主に天然ゴムラテックス(NR)から製造されている手袋
2種 主にニトリルラテックス(NBR)、ポリクロロプレンゴムラテックス(CR)、ポリイソプレンゴムラテックス(IR)、スチレンブタジエンゴム溶液(SBR)、スチレンブタジエンゴム乳濁液又は熱可塑性エラストマー溶液から製造されている手袋
性能
試験項目 | 性能 | 主な試験条件 | ||
---|---|---|---|---|
1種 | 2種 | |||
促進老化前 | 切断時引張力(N) 切断時伸び(%) 300%伸び時引張力(N) |
12.5以上 700以上 2.0以下 |
9.0以上 600以上 3.0以下 |
JIS K 6251 |
促進老化後 | 切断時引張力(N) 切断時伸び(%) |
9.5以上 550以上 |
9.0以上 500以上 |
JIS K 6257 70℃±2℃ 168h±2h |
※N(ニュートン)とは国際単位系における力の単位。
検査水準及びAQL
項目 | 検査水準 | AQL |
---|---|---|
寸法(幅、全長、厚さ) | S-2 | 4.0 |
水密性(ピンホール) | I | 1.5 |
切断時引張力及び切断時伸び (促進老化前及び促進老化後) 300%伸び時引張力(促進老化前) |
S-2 | 4.0 |
※JISとは日本工業規格(Japanese Industrial Standards)の略。
※AQLとはAcceptable Quality Levelの略で、合格品質水準の意。
使い捨て検査・検診用ゴム手袋(JIS T 9115 : 2000 参照)
適用範囲
手術を除いた検査、検診、治療行為及び汚染された医療材料を取り扱う場合、患者及び使用者を交差感染からまもるために使用する滅菌及び未滅菌の使い捨て形式の手術用ゴム手袋。
(手袋の表面が平滑なもの及び表面の一部又は全面が荒面の手袋にも適用)
1種 天然ゴムラテックス(NR)を主原料とした手袋
2種 合成ゴムラテックス、天然ゴム溶液、又は合成ゴム溶液を主原料とした手袋
性能
試験項目 | 性能 | 主な試験条件 | ||
---|---|---|---|---|
1種 | 2種 | |||
老化前 | 引張強さ(Mpa) 切断時伸び(%) |
21以上 700以上 |
15以上 500以上 |
JIS K 6251 |
老化後 | 引張強さ(Mpa) 切断時伸び(%) |
16以上 500以上 |
11以上 450以上 |
JIS K 6257 70℃±1℃ 168h _ 02h |
*Mpa(メガパスカル)とは応力(圧力)の単位。 1Mpa=1N/㎟
検査水準及びAQL
項目 | 検査水準 | AQL |
---|---|---|
寸法(幅、全長、厚さ) | S-2 | 4.0 |
水密性(ピンホール) | S-4 | 2.5 |
物性(老化前、老化後) | S-2 | 4.0 |
使い捨て検査・検診用ビニル手袋(JIS T 9116 : 2000参照)
適用範囲
手術を除いた検査、検診、治療行為及び汚染された医療材料を取り扱う場合、患者及び使用者を交差感染からまもるために使用する滅菌及び未滅菌の使い捨て形式の手術用ビニル手袋。
(手袋の表面が平滑なもの及び表面の一部又は全面が荒面の手袋にも適用)
性能
試験項目 | 性能 | 主な試験条件 | |
---|---|---|---|
老化前 | 引張強さ(Mpa) 切断時伸び(%) |
8以上 300以上 |
JIS K 6251 引張速度200mm/min |
老化後 | 引張強さ(Mpa) 切断時伸び(%) |
8以上 300以上 |
JIS K 6257 70℃±1℃ 168h _ 02h |
*Mpa(メガパスカル)とは応力(圧力)の単位。 1Mpa=1N/㎟
検査水準及びAQL
項目 | 検査水準 | AQL |
---|---|---|
寸法(幅、全長、厚さ) | S-2 | 4.0 |
水密性(ピンホール) | S-4 | 2.5 |
物性(老化前、老化後) | S-2 | 4.0 |
手袋の着脱方法
※手袋表面を汚染した感染性物質は手袋着脱後も手指から検出されることが報告されています。患者ごとに手袋を交換し、適切に手袋を外した上で必ず手指消毒を行うことで、手指を介する交差感染から患者をまもりましょう。
着用方法
*手指衛生後、清潔な手袋の指先や手のひら部分に触れて汚染物質が手袋表面に付着しないよう手袋の手首部分を掴みましょう。
さらに手袋の指先を下に垂らして、上からはめると装着しやすくなります。

*はめた際に手袋に破損がないか等 確認します。
外し方
*汚染を拡散させない手順を徹底し、内側が表になるように外し、手袋をしている手で丸めて持ちます。

*汚染した面をそのまま外側にしてしまいますと、廃棄物容器の周辺を汚染してしまったり、それがきっかけで周囲環境を汚染することがあります。
※手袋を脱いだ時には、処置毎に廃棄・交換するとともに、汚染された表面に触れないように手袋を外すなど、適切な着脱および手指消毒を徹底する必要があります。