MEDICAL TOPICS

医療分野

医療従事者向けPPE

PPEとは?

医療現場をまもるPPEの正しい使用法

昨今、医療現場において、危険な病原体の曝露によって医療従事者が感染し、患者や従事者に感染が広がる院内感染の事故が多く聞かれます。このような極めて痛ましい事故を未然に防ぎ医療従事者をまもるために、より精度の高い感染対策(情報の周知)が必要不可欠になっており、PPE(個人用防護具)の正しい使用の徹底が強く推し進められています。

PPE: Personal Protective Equipment(個人用防護具)

血液や体液などの暴露から医療従事者や患者をまもり、感染経路を遮断する有効な手段である代表的なPPEとして、手袋、マスク、キャップ、アイガード、ガウン、エプロン、靴カバーなどがあげられます。しかし、せっかくPPEを装着しても、効果のないものを選択したり、間違った装着方法をしても意味がないどころか、逆に感染を拡げる危険が増加する場合もあります。より安全で最大限の効果を発揮するためには適切なPPEの選択と正しい着脱方法の知識が必要になります。

PPEの正しい使用方法について

1.PPEは感染の有無にかかわらず、血液や体液などの汚染対象物質に暴露する時、
またはそれが予想される時に、暴露する範囲を防護できる適切なものを選択してください。
2.汚染されたPPEは交差感染の元となるので患者毎、処置毎の交換はもちろん、
同一患者でも異なる身体部位のケアを行う際はPPEを交換するようにしてください。
3.病室の外部環境を汚染しないように、患者ケア区域から去る前に使用したPPEを全て脱ぎ廃棄し、
手指衛生をおこなってください。
4.取り外す順番の例としては 手袋→アイウェア→ガウン→マスクの順に行ってください。
5.交差感染を未然に防ぐためにはPPEを常に装着する、できる環境が必要ですので、使用現場の近くに
設置するようにしてください。

◎手袋

汚染された表面に触れないように外した手袋は、処置毎に廃棄・交換すると共に必ず手指消毒を行いましょう。また、無菌領域に触れる際には滅菌手袋を着用しなければなりません。

◎マスク

飛沫感染の予防を目的としたサージカルマスクは、病原菌飛沫に曝露するリスクを低減したり、着用者から周囲への曝露リスクも低減します。しかし、感染性病原ウィルスが単体で微粒子として空気中に浮遊する場合には、サージカルマスクでは対応できないとして、N95やDS2クラス以上の防塵マスクを使用する必要があります。また、マスクを外す過程で皮膚や他防護具を汚染する可能性もあるため、正しい着脱方法の順守と手指洗浄も行ってください。

◎アイガード

患者からの血液や体液の飛沫がある場合には、眼粘膜(さらに眼や鼻や口)を保護するフェイスシールドやゴーグルなどのアイガードの着用が推奨されています。通常の眼鏡やコンタクトレンズでは湿性生体物質を防護することはできません。しかも眼粘膜は他の皮膚細胞と比較しても感染リスクが高く注意が必要です。

◎エプロン・ガウン

医療現場においてエプロンやガウンは、撥水性など液体が浸透しない素材、長袖で袖口の締まり、皮膚をなるべく広範囲にカバーできる形状ものが推奨されています。また、患者ごとに交換し、使用後は小さく丸めて廃棄することで交差感染を防止できるディスポ(使い捨て)タイプのものが望ましいとされています。

◎キャップ・靴カバー

医療現場においてキャップや靴カバーは、医療従事者を汚染からまもるために着用されるものです。また一方で毛髪落下や歩行により手術室などの清潔領域の環境汚染防止のためでもありますので、着脱時には十分な注意が必要です。